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歌うように刺繍を


【ころBOXレポート】



1984年、港南台七丁目の第二保育園の隣に建設され、今年で年目になる港南福祉ホーム(以下ホーム)。勤めて年目になる大瀧陽子さんが、ホームの活動について丁寧に説明して下さった。

特定非営利活動法人 港南福祉ホーム



 1984年、港南台七丁目の第二保育園の隣に建設され、今年で年目になる港南福祉ホーム(以下ホーム)。勤めて年目になる大瀧陽子さんが、ホームの活動について丁寧に説明して下さった。

 大瀧さんは、就職活動でホームを見学に来た時に、利用者さんの過ごしている雰囲気が良くここで働きたいと思って、就職を決めたという。

 ホームは、様々な障がいのある方が利用できる通所施設である。住み慣れた地域で仲間たちと出会え、自らがどう暮らしたいかを考えられる場所となっている。地域の方に対しても支えられるだけでなく、行事や活動などを企画し、積極的に交流を進めることで、地域貢献や社会参加に繫がることを目指しているという。現在、20歳から歳までの人が通っている。利用者の親御さん達から活動が始まり、2007年にはNPO法人となった。

 ホームでは、利用者が充実した日々を過ごすために、自主製品を作成し販売している。作品は多岐にわたり、七宝焼き、刺繍、織物、ビーズアクセサリー、ステンシル等、一つ一つ丁寧に作られていた。毎年一月には、港南台バーズ階のドゥ・ファッションプラザで、これらの作品を販売、展示する「港南福祉ホム活動展」も開催されている。

  sing a sewing

刺繍の花が彩るバッグ 障がい者と、多様な分野のプロフェッショナルによる現代アートの国際展、パラトリエンナーレに2014年からホームも参加することになった。そこで日本のファッションブランド、ミナ ペルホネン※の布地に、ホームの方が自由に刺繍をするsing a sewingというプロジェクトが始まった。色々な人に作品を見てもらいたいと、刺繍作品を展示しワークショップを開催、更に2017年には作品を額装して展示した。

 その時の作品には、今までとは違う個性があった。自主製品は基本に沿って仕上げられていたが、sing a sewingの作品は独創的で斬新なものだった。ミナペルホネンの布地の柄と、自由に施された刺繡との融合。絵画の一筆一筆のような、一針一針。基本に捉われることなく自由に刺繍された布地は、紛れもなく世界に一つしかないアート作品だった。

 ホームで最年長の武川清次さんは、お花が好きだそうで、刺す場所に刺繍糸の色を合わせては、花の中心から刺していく。やがて、花が色付き、輪郭が現れてくる。「人のためになるものがいい」武川さんは、そう思いながら刺繍をしていると言う。波縫い、長く短く、細かく緻密な、自由なラインで、沢山のステッチが重なり合い、力強い作品ができていく。武川さんのように自由を楽しめる人もいれば、中には戸惑いを感じる人もいて、自由の捉え方も人によって違うそうだ。始まりから3年が経ちもsing a sewing形になってきたと、大瀧さんは振り返る。

ZOKU ZOKU プロジェクト

 パラトリエンナーレのワークショップで、新たな出会いが訪れた。デザイナー、縫製作家、映像作家の方々と、誰かの日常にそっと寄り添う小さなアートを作っていきたいとZOKUZOKUプロジェクトが始まった。作品は全ての人にとってアートにはなり得なくても、誰かにとってはアートになる可能性がある、という考えからだった。ホームの中井さんが刺繍した布は、縫製作家のアイデアで花に形作られた。港南区役所から依頼された見守りステッカーは、前村さんのイラストと岩本さんの刺繍で、デザイナーと一緒に作り上げた。皆で話し合って決めたプロジェクト名の通り、専門家とのやり取りによって、続々と作品が生まれていく。

人と人を繫ぐ刺繍

大胆で色鮮やか 自主製品の刺繍から始まって、ミナ ペルホネンの布地に自由に刺繍をするsing a sewing、その作品により出会った人達と制作するZOKUZOKU。刺繍から広がっていく、人との繫がり。それこそ一つの作品の一針一針のように、丁寧に力強く繋がっていく。

 私達は障がい者と健常者で違うと考えがちだ。確かに日常生活においては同じようにはいかないかもしれない。でも、アートの世界においては違いがあろうとなかろうと、ただそこに人を惹きつける作品があるという真実。それがゆえに、これからも彼らの作品は見る人を魅了し、人と人を繫いでいくのだろう。

  ※ ミナ ペルホネン / ファッションデザイナー、皆川明が設立したブランド。自然の情景や社会へのまなざしからデザインを進め、日本各地の生地産地と連携し、テキスタイルを生み出している。

大野千鶴江さん武川清次さん

特定非営利活動法人 港南福祉ホーム 横浜市港南区港南台 7-25-22 TEL 045-832-9337


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