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「行き場がない」「聞いてくれる人がない」苦しいときの心の居場所


レポート:金子
取材日:2006年7月

   
ストレス社会と言われる現代、鬱病の悩みをしばしば耳にするようになりました。
虐待、親殺しなど暗いニュースが続くのも、当事者にはそこまで思い詰める苦しい気 持ちがあったのではないでしょうか。日々の暮らしの中でも、生きづらさを抱えてい る人は多いことでしょう。そういう人の生きる力を助け、「心のサポート」に尽くしている人たちの活動を、港南区で二か所紹介します。
   
     

●だれか聞いて……
つらい気持ちを受け止める「おしゃべり電話」ボランティア

■だれに相談したらいいの
 だれでも、生きていれば日々悩みは尽きないものです。辛いことを周りに相談できればいいのですが、家族や自分のプライバシーを話せて親身に相談に乗ってもらえるという人はなかなかいません。「もう頭がいっぱい。胸が苦しい。いったいだれに相談したらいいの」という人の思いを毎週電話で受け止めてくれるのは「かながわカウンセリング研究会」のメンバーたち。「おしゃべり電話」と名付けた電話相談をボランティアで毎週続けています。

●木曜日10時〜15時30分。045-841-8294(横浜)
●月曜日10時〜15時30分。044-722-5498(川崎)
※お名前を名乗る必要はありません。もちろん、話したプライバシーは守られます。



■地域での心のサポート
 「かながわカウンセリング研究会」は会員38名。世話役の久間(きゅうま)さんは20年近く前に、カルチャーセンターで学ぶつもりで「東京コミュニティカレッジ」へ通い始めました。そこで学んだのは「人間学」。理事長の薦めで卒業後、学校カウンセラーに。当時はまだ、カウンセリングという言葉も耳慣れず、各学校にカウンセラーがいる今とは状況がずいぶん違いました。「最初のころは、人の心の中に入って行くなんて、恐くて恐くて」と言い、自分でも手探りの毎日。
 一生懸命相手をしても、生徒たちは卒業すると、学校カウンセラーの手の届かない所へ行ってしまう。ずっと面談していた生徒を卒業後は放り出した形になって、次に連絡があったのは心を病んで病院に入ってからということがあった。もっと続けて話を聞いていてあげたらと、自責の思いに苦しめられて「地域でサポートできる所があったら」と強い思いを抱くようになったとのこと。そうして仲間と始めたのが「おしゃべり電話」。


■気持ちを吐き出す「おしゃべり電話」
 平成14年に、精神福祉にかかわる人たちが立ち上げた「横浜メンタルサービスネットワーク(YMSN)」の電話相談部門を引き受けることになって、「おしゃべり電話」はそちらへお引越。それからずっとボランティアの人たちが交替で、かかってくる電話の悩みや苦しみを受け止め、「丁寧にゆっくり」話を聞いてくれる。専門的なアドバイスが必要な人にはそれなりの機関を紹介するが、まずは自分の辛いことを吐き出して、「あー、すっきりした!」と思ってもらえれば、と世話役の久間さん。話を聞くうちにその人の辛さを引き受けていくので、自分も辛くなってくる。研修は聞き方や専門知識の勉強もするが、鎌倉の自然の中で行われる自分たちのための「道(タオ)」の勉強会で癒される。四季折々の花に囲まれ、宇宙の大きなエネルギーに守られていると体感するひととき。辛さはみんな自然の中に捨ててくる。
 そして、仲間。「自分の前に良い先輩がいて支えられていると思っています。鎌倉でのタオの勉強は自然だけでなくそんな仲間との会話や共に居ることだけで、癒される人間関係の学びの場です」


■みんな人間、共に暮らす
 「おしゃべり電話」のボランティアさんたちは1年間みっちり研修して、2年目はさらに実践の中で学ぶ。精神的な障碍を抱える人たちとも交流する中で感じるのは、「健常者だけが人間ではない」ということ。知的障碍、身体障碍、精神障碍などを抱える人たちはたくさんいる。「病院に行って治ってらっしゃい」と医療に押しつけるのではなく、地域の中で一緒に暮らしていけるように、障害があって周りに溶け込めないなら、周りの人が対応を変えればよい。高齢者も生活障碍者という点では同じ。いろんな人たちが共に暮らしていけるようにという願いが、ボランティアさんたちを支えている。

 

 

 

 

 









●「ここに来て安心できた」……
こころの病を持つ方のふれあいの場所
「横浜市港南区生活支援センター」

地下鉄港南中央駅から歩いて5分、港南中央地域ケアプラザの3階に横浜市港南区生活支援センターがあります。こころの病の方、その家族などが様々な相談をしたり、日中を過ごしていく場所です。

 
●港南区生活支援センター
■こころの病を持つ方のふれあいの場所
港南区生活支援センター(以下、支援センター)はこころの病を持つ方、その家族などがさまざまな相談をしたり日中を過ごしていく場所です。1)現在、精神科、神経科等に受診中の方、その家族など、2)ご自身で来館できる方(家族、介助者等による送迎可)の2つの条件を満たしていれば利用できます。
 支援センターではこころの病を持った方のほか、家族、スタッフ、市民ボランティア、地域関係機関等とのふれあい・交流があります。一般的に、こころの病は10代後半から20代の年齢に掛けて発症することが多いと言われています。10代から20代の多感な時期に発症した方は、学校生活、アルバイト、友人関係、恋愛、就職……その年代特有の経験が持てなかった方もいます。又、それ以外の年代で発症した方にも人間関係が少なかったり、周囲の十分な理解が得られなかったり、その他さまざまな生活のしづらさを感じている方が居ます。引きこもりがちな方、昼夜逆転しがちな生活を送っている方も居ます。そんな方たちにとって、支援センターのような場所があることは意義深いのではないでしょうか。
 現在の登録者数は694名、スタッフは8名です(平成18年7月31日現在)。こころの病の方、その家族を中心に実に様々な内容の相談を受けています。スタッフは、電話・面接相談のほか、一定期間利用されている方を対象に自宅訪問、病院受診同行等も行います。支援センター内で一緒に卓球、将棋、オセロ、トランプをすることもあり、フロアでお話をすることもあります。夕食サービスの調理、フロアの清掃も行います。色々な仕事をこなしています。
 

 

     

■誰にでも起こり得る、調子を崩す可能性
 「精神障害」という言葉からマイナスのイメージを思い浮かべる方も少なくないのかもしれません。しかし、実際の姿を知っていただければ、多くの場合においてそのイメージが当てはまらないことと思います。障害者白書に拠ると、全国で258万4千人の精神障害の方が居ます。通院していない方も潜在的にいる状況を考えると、実際は白書の数字以上居ると推定されます。現代社会に蔓延するストレスを考えた時、私たちはいつ調子を崩しても何ら不思議でない状況下で日々生活しているのではないでしょうか。精神科に受診している方には、ストレス等が原因で調子を崩した方、繊細ゆえに調子を崩した方も多いように見受けられます。うつ病、統合失調症、強迫神経症等…支援センターを利用している方は様々です。


■人とつながっている実感、ゆるやかに流れる時間
支援センターでは、電話・面接相談のほか、夕食(400円)入浴(100円)洗濯(100円)等のサービスが利用できます(夕食、入浴、洗濯、インターネットサービスは利用登録が必要)。絵画、気功教室、ソフトボールほか、余暇支援的なものから、就労講座、SST(Social Skill Training…社会生活技能訓練)、パソコン教室等バラエティに富んだプログラムを行っています。
 のんびりテレビを見て過ごす方、入浴サービスのみ利用して帰る方、仲間とわいわいおしゃべりをして過ごす方、朝から1日支援センターで過ごす方、特定のプログラムのみ参加する方、電話相談のみの方……その人のライフスタイル、ライフステージによって様々な利用の仕方が有ります。
 「その方の個性、ライフスタイル、価値観が尊重される安全・安心な時間を提供し続けること、人と人とが直接言葉を交わすことができる、人とつながっている実感が持てる血の通ったコミュニケーションを大切にしたい。支援センターは、時間がゆるやかに流れているかもしれない」とスタッフのAさんは語ります。Aさんは勤めていた会社を辞め、港南区生活支援センターがオープンした4年4ヶ月前から働いています。前職の業務の中で、うつ病に掛かり出勤しなくなったシステムエンジニアの存在を知りました。当時(現在も)ストレス社会が叫ばれるなか、年間3万人以上の方が自らの命を絶つという閉塞感漂う時代背景と相まってこころの病に関心を抱いていた矢先、生活支援センターの仕事を知りました。「これだ! これこそ社会にとって必要な仕事だ」そう思い、転職に踏み切りました。

 


今日の夕食サービス(400円) おいしそう!

■ 支援センターの日々の中で現在のAさんの仕事への思い

「こころの病の方の中には、繊細ゆえにストレスと上手く付き合えなかったり、自信・自己肯定感が持てない方、悩みを抱えて孤立している方もいます。そんな方たちが支援センター利用を通じ、例えほんの僅かでもエネルギー、モチベーション、安心感、仲間、様々な経験、自分の個性・人生に前向きになるきっかけ等々…これらの一つでも得られたとすれば、それはスタッフにとって、この上ないやりがいを感じます」
 「私たちは、こころの病の方に代わって悩みを解決することはできません。心理分析、カウンセリングを行う場所ではありません。しかし、微力ながらもその方と共に悩み、考え、現状を見つめ、気持ちの整理をするお手伝いはできます。そのためにスタッフは、実践と理論の両輪の下、常日頃から状況判断力、雰囲気・空気を察知する力、柔軟かつ臨機応変な対応、専門分野を持ちながらもその枠にとらわれない幅広い知識、多面的・多角的な物の見方、多様な個性と価値観を尊重する眼差し・懐の深さを培う不断の努力をしていかねばなりません。
 社会背景・外部環境に目配りし、時代を見る目を養うこと、より良いサービス提供のため、自己点検、時には自己否定をも恐れないこと、問題意識・知的好奇心を持ち続けることも必要と言えるでしょう。つまり、スタッフ一人一人が総合力を高めていかなければなりません。コミュニケーション不足、不十分な情報共有は適時適切な対応を妨げます。そのためにも、言葉を交わす血の通ったコミュニケーションを大切にしていきたいと思います」
 「そして、一人でも多くの利用者の方にとって、少しでも納得できる日々を積み重ねるためのお手伝いに微力ながらも取り組んでゆく中で、利用者の方と共に地道な成功体験、時には失敗体験をも積み重ねて成長してゆきたいと考えます。そして、その結果として、支援センターが一人でも多くのこころの病の方にとってオアシスのような場所になれれば嬉しいですね。日々が真剣勝負であり、教えられること、学ぶべきことは多いとつくづく実感させられます」

   

 

 
 
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